光の行方 〜 賢者の石編 〜    9


子猫は翌日には元気に動き回るようになっていた。

はそんな子猫に『極夜』という名を、買って貰ったふくろうに『白夜』という名をつけた。

兄達に名前の由来を尋ねられた時、はこう答えた。

「ふくろうが、じゃれ付く子猫をあしらっている様子を見て思いついたの。

お母様のいた国では、太陽が一日中上ることのない日を『極夜』、沈むことのない日を『白夜』というのよ。

だから真っ黒な子猫は極夜、真っ白なふくろうは白夜」

ちなみに2匹とも雄らしい。

兄達は変わった名前だと感じたが、が気に入っているのならそれでいいと思った。



それからの

極夜達と遊んだり、教科書を読んだり、

極夜達と遊んだり、ウィーズリー家に遊びに行ったり、

極夜達と遊んだりしてすごした。



そして入学当日。

コンパートメントに荷物を運びいれた後、


「足りない物、欲しいのもがあったら遠慮なく言ってね。すぐに送ってあげるから」

「困った事があったらすぐにふくろう便をよこせよ。どこにいても絶対に助けてやる」

「何も無くても様子を知らせるように」


などの一般的(?)な事や



「身を守る呪文は覚えている?」

「マグル式の護身術は覚えてるか?」

「何かあったら遠慮なく使いなさい。

相手に怪我をさせても気にしなくていい」


といった物騒な事



「男と2人きりになるようなことは避けろ」


といったにはいまいち理解できない事まで、延々と注意された。

そうしている間にも刻々と時間は過ぎてゆき…

「あぁ、もう仕事に行かなきゃ」

「俺が後一年遅く生まれていれば、一緒に行けたのに…!」

「こればかりはいたし方あるまい…」

3人は残念そうにつぶやいた。

「何か違和感を感じたこと、不安なこと、不思議なことがあったら、どんな些細なことでも、

根拠の無いことでも知らせるように」

最後に、最も注意するべきことだ、というように真剣な顔でソードが注意をした後、

うって変わって安心させるような笑顔で、エリオットとエースが言った。

「ホグワーツは楽しいところだよ。ならどこの寮でもうまくやっていける」

「でもクリスマス休暇には帰ってこいよ。楽しみに待ってる」

そうして後ろ髪を引かれる思いで3人は仕事に向かった。





「まったく、心配性なんだから」

はくすくす笑いながら、立派なバスケット――兄達からのプレゼントである――に入った極夜に話しかけた。

「でも、そうやって気にかけてくれる人がいるというのはありがたいことよね」

そう言って微笑んだ時、コンパートメントのドアをノックする音がした。

「はい、どうぞ」

入ってきたのはふさふさした栗色の髪の、ちょっと前歯の大きい女の子だった。

その子はを見た瞬間、金縛りにあったかのように固まってしまった。

「…?どうしたの?大丈夫?」

がその子の目の前で手をひらひらと振るとはっと我に返ったようにしゃべりだした。

「だ、大丈夫よ。ここの席に座ってもいいかしら?他はどこもいっぱいで…」

「えぇ、もちろん。私も1人で寂しかったところなの」

歓迎するわ、と微笑んだを見てまた固まったが、今度は比較的早く正気に返り顔を赤くしてうつむいた。

「荷物を運ぶの手伝いましょうか?」

「え…あ、大丈夫よ。…あなたの荷物はそれだけなの?」

の荷物はキャリーケース1つと鳥かごとバスケットだけだった。

「そうよ。でもこれ魔法がかかっているから、小さくて軽いけどとてもたくさん入るの」

これも例によって兄からのプレゼントである。

「あ、自己紹介がまだだったわね。私は。一年生よ。あなたは?」

「私はハーマイオニー・グレンジャーよ。あなたと同じ一年」

「よろしくね」

笑って手を出したを見てハーマイオニーは顔を赤くし、少しうつむきながら握手した。








ようやくハーマイオニーと出会いました。兄達とはここでお別れです。

ちなみに極夜と白夜の現象は南極で見れるらしいです。


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