光の行方 〜 賢者の石編 〜 5
「じゃあ昼食の準備をしましょう!」
訪問のあれやこれやがひと段落着いたところでモリーは言った。
「はい」
は当然のようにジニーと一緒にモリーの後に続いた。
がウィーズリー家で家事を手伝うようになったのは7年前に遡る。
家次男、エースがホグワーツに入学した年。
その年からは昼、家で1人きりですごすことになった。
半年間はなんでもない振りをしていたが父ソードは娘の元気がないことと、その理由に気がついた。
そこで友人であるウィーズリー氏の家に昼間を預けることにしたのである。
ウィーズリー家に行くのは3日に1回のペースだったが効果は抜群だった。
は初めはただ遊んでいるだけだった。
双子のいたずらを見学したり(がアイディアを出すこともあった)、
ロンとほうきに乗ったり、
ジニーとお絵かきしたり…
しかしある日はモリーが忙しそうなことに気がついた。
なぜだろう…は一生懸命考えた。
そうだ、屋敷しもべ妖精がいないんだわ!
そこで家事を手伝わせてほしいとモリーに頼み込んだ。
その時のの心境はお礼と好奇心半分ずつ、という感じだった。
の家では全て屋敷しもべ妖精がやってくれるため家事がどのようなものか分からなかったのである。
初めモリーはそんなことはしなくていいのだと断った。
しかしの必死の説得に負けて最後には首を縦に振ることになったのである。
それ以来はウィーズリー家に来るたび家事を手伝い続けている。
今では家事全般は得意だ、と言えるほどに上達していた。
「今年であなたもホグワーツに入学ですものね。寂しくなるわ」
そう言いながらモリーはソーセージを焼いた。
「本当に!お姉ちゃんが行くなら私も今年から行きたい!」
ジニーは実の姉のようながいなくなってしまうということで、半泣きだ。
「私もモリーさんやジニーに会えないのは寂しいわ」
はそう言いながら野菜を洗った。
「でもそれ以上に楽しみなんでしょ」
モリーは笑いながら横目でチラッとを見た。
全部お見通しよ――そう言われている気がした。
「えぇ、実はとても」
もくすくす笑いながら返事をした。
の手はすでに野菜を持っておらず、ドレッシングを作るために動いていた。
「だって皆、とても楽しそうに話すんですもの」
「えぇ、ホグワーツはとても楽しいですよ。そしてとてもためになるわ。
実は私も寂しさよりあなたがどれだけ成長するかっていう楽しみの方が大きいの」
「私は嫌よ!お姉ちゃん、一年入学待って!」
このジニーの言葉にはも困った。
ジニーを実の妹のように感じているからということと、1人で遊ぶことがどれだけ寂しいかということを
良く知っているからだ。
「ジニー、むちゃくちゃなこと言ってを困らせるんじゃありません。
…さ、できたわ。後はやっておくから皆を呼んできて」
「はどこの寮に入りたい?」
昼食の際の議論はこの質問から始まった。
「「当然グリフィンドールだよな!」」
「うん、グリフィンドールは素晴しい寮だよ」
「グリフィンドールがに合ってると思うな」
「僕もと一緒にグリフィンドールに入れたらいいと思う」
「私も来年お姉ちゃんとお兄ちゃん達と一緒の寮がいいわ!」
「え、えぇ、ありがとう…」
は思った――異口同音とはこういう事を言うのか…。
「ママもそう思うだろ?」
「そうね、グリフィンドールは素晴しい寮だわ。
でも他の寮も素晴しいから、ならどこに入っても大丈夫よ。あぁもちろんロンもね」
モリーの言葉を聞いてロンは暗い顔で言った。
「でもスリザリンなんかに入れられたら僕やっていける自信が無いよ…」
「大丈夫だよ、ロニー坊や」
すかさずフレッドとジョージはロンを慰めた。
「たとえ鼻垂れ坊やでもあんな性悪たちの寮に入るわけが無いさ」
「そうとも。たとえ蜘蛛にビビるような腰抜けでもその心配はないよ」
「「なんたって僕たちの弟だからね!」」
もとい、からかった。
「フレッド!ジョージ!あまり他の寮の悪口を言うものではありません!ロンも、喧嘩はお止めなさい!」
「だってフレッドとジョージが…」
「
返事は?
」
「「「はい、ママ」」」
怒られている3人を気にすることなく、ビルはのんびり言った。
「、このサラダのドレッシングとてもおいしいね。君が作ったの?」
「本当?そう、ちょっと新しいのに挑戦してみたの。お口に合ったのなら良かったわ」
ものんびり返した。
こんなやり取りにはもう慣れていたのである。
今日も隠れ穴は平和だった。
ヒロインは立派なウィーズリー家の一員です。
もしも嫁入りすることになっても嫁姑関係は問題ありません(笑
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