光の行方 〜 賢者の石編 〜 30
新学期が始まる1日前にハーマイオニーとはホグワーツに帰ってきた。
ハリー達から透明マントやみぞの鏡の話を聞いたは、驚いてからハリーがフィルチに見つからなかったことにほっと胸をなでおろした。
ハーマイオニーはそれに加えてどうせならニコラス・フラメルについて何か見つければよかったのに、と悔しがった。
これだけ探しても見つからないので4人はフラメルを図書館で見つけることを諦め始めていた。
「ハリー、顔色が悪いわ。クィディッチの練習、今日くらい休んだら?」
ウッドのしごきは前より厳しくなったようだった。
双子のウィーズリーなど「ウッドは狂ってる」とまで文句を言っていたくらいだ。
ハリーの顔色の悪さはそのせいだとは思った。
「え?そ、そう?大丈夫だよ」
しかしハリーは練習を休もうとはしなかった。
みぞの鏡を見てから毎晩悪夢にうなされていたのだ。
顔色が悪いのはおそらくそのせいであろう。
それにハリーは練習で疲れた後はあまり悪夢を見なくなるということも発見していた。
その為、練習を休みたくなかったのだ。
次の試合でハッフルパフに勝てば7年ぶりに寮対抗杯をスリザリンから取り戻せるというのも練習に打ち込んでいる理由の1つであるが。
「本当に大丈夫なんだ。心配してくれてありがとう」
本人にそう言われてははそれ以上強く言うことができなかった。
「ニコラス・フラメルが誰だかわかったわ」
ある日の授業中、興奮した様子でハーマイオニーが囁いた。
「静かに聞いてね。彼はね、賢者の石の創造に成功した唯一の者よ!」
賢者の石という言葉には、聞き覚えがあった。
「賢者の石…。聞いたことがあるわ。
不老不死を手に入れることのできる『命の水』の源であり、いかなる金属も黄金に変える力も持つと言われているんじゃなかったかしら」
「えぇ、その通りよ。あの犬が守っているのは賢者の石に違いないわ!
きっと誰かに狙われてることを知ったフラメルがダンブルドアに頼んだのよ。2人は友達らしいもの」
「それなら確かに誰が狙ってもおかしくないだけの価値があるわね…」
そう言いながらもはスネイプと目が合った時のことを思い出していた。
たったの一度、それも一瞬のことだったが確かにスネイプは優しい目をしていた。
その後の意地悪な態度よりも、その一瞬だけ合った目の方が強く印象に残っていたには、どうしてもスネイプが悪い人には思えなかった。
しかし、犯人はスネイプだと言っているような情報ばかりが集まってくる。
実際、ハリー達は犯人がスネイプだと信じて疑っていない。
その様子に口をはさむことができず、は3人との間に溝ができてしまったように感じた。
その後もが一方的に感じている溝は日に日に深まるばかりだった。
クディッチの試合でグリフィンドールが勝って高揚した気分も、直後にハリーが聞いたクィレルとスネイプの会話を聞いて一気に沈んだ。
そんな中ハグリットが法を犯して小屋にドラゴンを隠していることが判明したのだ。
3人は賢者の石や授業の課題やテストの為の復習の他にもう一つ心配事を抱えることになり憂鬱そうであった。
「あーあ、平穏な生活って、どんなものかなぁ」
ロンの言葉に頷きながら、はほんの少しドラゴンに感謝していた。
その心配事ができてからスネイプを非難する話題が減った為である。
ドラゴンの卵が孵るところも見ることができたし、滅多にできない体験ができたこともドラゴンに感謝した理由の1つだ。
しかしそんな呑気なことも言ってられなくなった。
マルフォイにドラゴンを見られてしまったのだ。
次の週マルフォイが薄笑いを浮かべているのが、4人は気になってしょうがなかった。
は意を決してマルフォイを問い詰めたが、返事になっていない返事しか返ってこなかった。
「大丈夫、が悲しむことを僕がすると思うかい?
君は少しの間、あの3人から離れていればいいんだよ」
問題はそれだけではなかった。
ドラゴンはたった1週間で3倍もの大きさに成長した。
後2週間もしたらハグリットの小屋と同じくらいの大きさにまでなるらしい。
ハリー達は必死でハグリットにドラゴンを自然に返すよう説得をしたが、ハグリットは首を縦に振ろうとはしなかった。
恐ろしいドラゴンを小動物か何かのように話すハグリットは、ロンでなくとも狂ってると言いたくなるような状態だった。
そんなどうしようもない状況を打開する素晴らしい案をハリーが思いついた。
ドラゴンの研究をしているロンの兄、チャーリーにドラゴンを引き取ってもらおうというのである。
その案を持ち出してようやくハグリットの説得に成功した。
チャーリーからの承諾の手紙も届いて、この問題が解決しそうだとはほっとした。
ただしそのためには一つ危険を冒さなければならない。
夜中にドラゴンを連れてホグワーツで一番高い塔に登らなければならないのだ。
透明マントにはハリーとドラゴンともうあと1人くらいしか入らない。
その1人はロンに決まっていたのだが、そのロンがドラゴンにかまれて怪我をしてしまった。
「「私が代わりに行くわ」」
手が2倍くらいにまで膨れたロンを見て、とハーマイオニーは同時に言った。
2人ともお互いを心配して一歩も引こうとしない。
話がちっとも進まないのを見かねたロンが出した案によりじゃんけんで勝敗は決められた。
「勝ったわ!約束よ、。大人しく待っててね」
満面の笑みを浮かべて言ったハーマイオニーの言葉に、は頷く他にできることはなかった。
話が長くなった為、クリスマスの部分はカットしました。
この辺はいろいろ飛ばしてさっさと進めようと思います。
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