光の行方 〜 賢者の石編 〜 29
家に帰ったは熱烈な歓迎を受けた。
テーブルにはの好きなものばかりが所せましと並び、兄達はあふれんばかりの微笑みを終始浮かべていた。
普段は無表情な父でさえかすかに微笑みを浮かべていたのである。
そんな家族につられてもとても嬉しくなった。
そうして幸せいっぱいな食事が終って食後の紅茶を飲んでいる時、ようやくその話題に触れられた。
「、トロールに襲われたんだって?」
「ええ…」
は手紙で簡単に説明していたことを3人に詳しく話してから尋ねた。
「ねえ、お父様。私、黒髪と聞いた時思わずお母様を連想したわ。
お父様は今回のことについて何か知らない?」
兄達も真剣な顔をして父を見た。どうやら2人とも心当たりがないらしい。
「……お前の母、瑠璃が私の知らない不思議な力を持っていたのは確かだ。
そしてお前は驚くほど瑠璃の血を色濃くついでいたらしい。
生まれた時、お前の髪の色は瑠璃と同じ漆黒だった」
「え…?」
「生まれたお前を見て瑠璃は驚いた。
そして自分の体力がある程度戻るとすぐにお前に何かの魔法をかけたらしい。
瑠璃はその魔法を『封印』と言っていた。
らしい、というのはこれは瑠璃に後で聞いた話だからだ。
私が次にお前を見た時は、すでにお前は今の髪の色になっていた」
「黒髪ではまずい事情があったのですか?」
不思議そうにエリオットが尋ねる。
「いや、髪の色はどうやら副作用のようなものらしい。
の中にある自分と同じものを封じ私の血を前面に出した時、外見上にも変化が表れてしまったそうだ」
「なるほど。だからにも後継者の印が表れてしまったんですね」
「それを知っていたから兄貴の方を後継者に決めることに何の躊躇いも持たなかったのか」
納得したようなエリオットとエースを見て、ソードはうなずいた。
「そうだ。印を持って生まれたのは、エリオット唯1人だったからな。
今回の件では、命が危険にさらされた事が切っ掛けとなり、瑠璃が封じたの中にある力が溢れ出したのではないか?
それにより一時的に封印が弱まり髪の色も元に戻ったのだろう」
ソードの一連の説明を受けてはかみしめるように言った。
「…お母様と同じ『何か』を私は引き継いでいるのね」
だからお母様は特別製の杖を私に用意して、水中人は私とお母様を間違えたのかもしれない。
「ああ。だが日常生活には支障がないはずだ。
実際、今まで封印の存在にすら気がつかなかっただろう?」
「えぇ」
「本来ならその封印のことも、がもっと大きくなるまで黙っているつもりだったが…。
緊急事態が起こってしまったのだから仕方がない。
また何かあったら言いなさい」
「はい」
それでこの話は終わり、少しの間たわいない話をしてからは部屋を出ようとした。
そんなに思い出したようにソードが声をかけた。
「あぁ、それともう一つ。クィレル先生を見ると妙な胸騒ぎがすると言っていたね」
「えぇ…でも何も根拠はないの。特に何もされてないし、ただの思いすごしだと思うわ」
クィレル先生に失礼よね、とは苦笑した。
「いや…。さっきも言った通りお前には瑠璃譲りの力が眠っている。そして瑠璃は勘が鋭かった。
失礼だなどと言っていないで念のために注意しておきなさい」
「……わかったわ。なるべく近寄らないようにしておく。
もう寝るわね。おやすみなさい」
「あぁ、おやすみ」
おやすみのキスをして部屋を出て行ったがドアを閉めるのを見てから、エースがぽつりと言った。
「クィレルについて調べてみる」
「僕も調べよう」
「だが、あのダンブルドアが雇ったのだ。ちょっとやそっとでは尻尾も見せないだろう。心してかからねば」
普段は過保護な2人を諌めることが多いソードも、今回は反対しなかった。
「でも調べるなら慎重にやらなきゃね。
家が調べてるなんて噂が立ったら余計な波紋を広げるだろうから」
「そうだな。ホグワーツからも目を離さないでおこう」
「うむ。トロールが入り込んだり、ハリー・ポッターが乗っていた箒が暴走したり、今年のホグワーツはどこかおかしい」
「何か連動した事件があるかもしれないから、外の事件にも今まで以上に気をつけておいた方がいいね」
「あぁ……私もできるだけのことは調べよう。お前たちも気をつけなさい」
「「はい」」
3人は目を交わしあって静かに頷いた。
オリキャラばっかり。次回もオリキャラ率は高いと思われます。
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