光の行方 〜 賢者の石編 〜 3
ハリーにはどうしても気になることが2つあった。
1つは自分は何も知らないのになぜ周りがこんなに期待するのか、ということ。
そしてもう1つは…
「ねぇ、ハグリット。って何者なの?」
「ん?どういう意味だ?」
「えーと…今日なんで僕と一緒に買い物に行ったの?」
「ふむ…うすうす感じていたかもしれんが、家は魔法族の中でも特に力のある旧家の一つだ。
には父親と、年の離れた兄貴が2人おるが3人とも仕事が忙しい。
それでちょうどハリーを連れてくる用があったわしに買い物について行くように頼んだんだ。
は1人でも大丈夫だと言い張ったようだがあの3人は何と言うか、あー、つまりをとても大切に
思っていてな。1人じゃ危ないと考えたんだ。あの外見なら確かに心配するのもうなずけるがな。
にはまったく自覚と警戒心が無いようだし。
だがあそこまで心配する必要はないように思うが…」
「…のお母さんは?」
「が3歳の時に死んじまったよ。生前から謎に包まれた人物でな。
優しい、いい人だったが詳しくはわしも知らん。
知っているのはの親父さんが極東の島国に行った時に連れ帰ってきたという事くらいだ。
は母親にそっくりだよ。髪と目の色は親父さん譲りのようだがな。
…あの杖のことは他言しないでやってくれないか?」
「うん、もちろん」
「よし…じゃあ行くか」
ダーズリーの家に行く電車の発車時刻が近くなっていた。
その日の夜、は夕食を食べながらこっそり父と兄達の顔を窺った。
杖について3人が知っているのか――これはにとって大きな問題だった。
それによって話すべきか話さないべきかが変わってくるからだ。
「買い物はどうだった?」
話を切り出したのは長男のエリオットだった。
「楽しかったわ。ハリーとも会えたし」
「そういえばハグリットが言っていたね。ハリー・ポッターはどんな子だった?」
「普通のいい子よ。なんだか自分に自信がなさそうだったけど。周りの熱狂ぶりに驚いていたわ」
はくすくす笑いながら言った。
「へぇ。じゃあマグルに預けたのは正解だったみたいだね」
「えぇ。私もそう思ったわ。あ、そうそう。ドラコ達にも会ったわよ」
「…どうだった?」
探るように聞いたのは次男のエース。
「相変わらず。やっぱりルシウスさんは苦手だわ。食事に誘われたけど断っちゃった」
「かまわないよ。あそこの家には気をつけなさい」
忠告をしたのは父、ソード。
「うん…」
3人の様子を見ると杖のことは知らないようだ。
黙っていよう――の出した結論だった。
「あ、そうだわ。明日隠れ穴に遊びに行っていい?」
「あぁ、行っておいで。約束でもしてるのかい?」
「ううん、でもビルが今帰って来てるんだって」
「俺も行きたかった」
エースが言った。
「ビルにはなかなか会えないな」
エリオットも残念そうだ。
「エリオット兄様もエース兄様もまたお仕事なの?」
「あぁ」
「そっか…。無理はしないでね」
はそう言って3人の頬におやすみのキスをした。
「おやすみなさい」
「…は年々あれに似てくるな」
が部屋から出て行ったのを見てソードは言った。
「あいつ絶対何か隠してる」
「そうだね。でも、僕たちに話すべきことだったらから言ってくれるよ」
「この場合、あいつが話す必要なしと判断したことが本当に必要がないことなのかが問題なんだぜ、兄貴」
「でも、問いただしても話そうとはしないだろう。頑固なところまであれにそっくりだからな」
「そう。結局僕たちにできることは見守ることくらいなんだよ」
そう言ってエリオットは辛そうな表情でが出て行った扉を見た。
「でも何かあったその時は――どんな手段を使ってもを守る」
エースは強い決意をこめた目をして言い切った。
そんな息子達をどこか複雑そうに眺めながらソードもつぶやいた。
「あぁ。私もお前たちと同じ考えだよ」
念のため言いますがこの家族、ヒロインと血のつながった実の家族です。
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