光の行方 〜 賢者の石編 〜 2
ハグリットは元気薬を飲みに行った。
(にはあんな楽しいトロッコでなぜ気分が悪くなるのかいまいち分からなかった)
ハリーは店の別の方へ連れて行かれてしまったため、は一人で制服の丈合わせをしていた。
今日は客が多く、一箇所ではできないらしい。
店の外で再びハリーに会った時、ハリーは元気がないようだった。
「どうしたの?」
「なんでもないよ」
はそれが嘘だと思ったが、追及するのはやめた。
その後鍋、秤、等を買い、残りは杖だけという時になって突然ハグリットは言った。
「おお、そうだ、まだ誕生祝を買ってやってなかったな」
「え、ハリー今日が誕生日なの?」
「う、うん」
ハリーは顔を赤くしながら答えた。
「でも…」
「じゃあ後でオリバンダーの店で会いましょう!」
「おいこら!親父さんとの約束は…行っちまった」
ハリーの言葉もハグリットの言葉も聞かずにが行った場所はさっき通った羽ペンを買った店だ。
「さっきハリーはこれを気に入っていたみたいだもの」
はハリーへの誕生日プレゼントに、書いてるうちに色が変わるインクを買った。
「やあ、じゃないか」
すると、背後から声をかけられた。
「あら、ドラコ!あなたも学用品をそろえに来たの?」
「あぁ…君一人かい?よく君の父上や兄上が許したね」
「仕事があるから仕方なくって感じだったわよ…。それも当然のようにお守りつき!」
「やっぱり」
ドラコ・マルフォイは笑いながらきいた。
「ところでそのお守り役は誰だい?」
「それは…「やあ、嬢。お父上や兄上はお元気ですかな」
「こんにちは、ルシウスさん。父も兄もとても元気です。ただ、仕事が忙しいらしいですけど」
ドラコの質問に答えようとしたを結果的にさえぎる形で、ルシウス・マルフォイが話しかけてきた。
「我々はこれから帰るのだが、一緒に食事でもどうだね」
「ありがとうございます。でも私はまだ買い物も終わっていませんし、帰る時間を約束していますから…」
「そうか。残念だ。ではまた別の機会に誘うとしよう」
「はい、それでは」
「ああ。行くぞ、ドラコ」
「はい、父上。じゃあ、またな」
「えぇ」
ドラコ達を見送った後は思った。
ドラコはいいけどルシウスさんは苦手だわ。
「いっけない!随分時間たっちゃった!」
は急いでオリバンダーの店に行った。
「ガチャン!」
が店の扉を開けた時の右で何かが割れたような音がした。
「な、何?」
「ご、ごめん!」
ハリーが慌てて駆け寄ってきた。
「大丈夫?」
「どこも怪我はないわ。大丈夫、そんなに気にしないで」
ちょっと大げさなくらい心配するハリーに笑いかけて、その手の杖に気がついた。
「あぁ、杖選びの最中だったの。それにしても随分試したのねぇ」
椅子の上に積まれている杖の山を見ては呆れたように言った。
「そうなんだ。これだけ試して駄目だとちょっと心配になってくるよ」
それを聞いていそいそと新しい杖を取り出しながらオリバンダー老人は言った。
「ご心配なさるな。これなんかどうだね?」
「…オリバンダーさんは難しい客ほどわくわくする人みたいね。頑張って」
「うん…」
ちょっと疲れたように笑ってハリーは戻っていった。
「こら、!」
「あら、ハグリット。何を怒っているの?」
「何を怒っているの、じゃなかろう!親父さんとの約束は?」
「あ…『ハグリットのそばを離れない』」
「そうだ。まったく、何もなかったからよかったものの…」
「ごめんなさい、すっかり忘れてたわ」
うなだれるを見て、ハグリットはため息をついて笑った。
「ま、反省してるみたいだから許してやる。次からはちゃんと親父さんの言うことを聞くんだぞ」
「えぇ、わかったわ」
その瞬間ハリーが振り下ろした杖の先から赤と金色の火花が花火のように流れ出し、光の玉が踊りながら壁に反射した。
「おー!」
「ブラボー!」
「すごいわ!」
それぞれが感嘆の声を上げた。
そこまでは良かったのだがオリバンダー老人の話には驚いた。
ハリーの杖は『例のあの人』の兄弟杖である!
その後のオリバンダー老人の台詞もあり、ハリーはまた元気をなくしてしまった。
それを心配そうに見ながらは前に出た。
「あの、私も杖を買いたいんですけど…」
「おお、あなたは家のお嬢様ですね!」
オリバンダー老人は奥から立派な箱に入った杖を持ってきた。
「あなたの杖はもうすでに分かっております。こちらをどうぞ」
がその杖を持つと急に指先が暖かくなり、手にぴったりとなじむような感覚を覚えた。
ためしに振ってみると、店内の埃がきらきらと金色に輝き、空中に舞った後、消えていった。
「おー!」
「綺麗…」
「やっぱりですな」
オリバンダー老人は満足そうにうなずきながら言った。
「その杖はわしとあなたのお母上とで作った、特注のものなのです」
「お母様と…?」
「さよう。
桜の木、月の雫、太陽の欠片、星の瞬き、水の結晶、炎の石…。
これらの物をどうやって手に入れたのかあなたのお母上は教えてくださらなかった。
初めて見る物ばかりでどれを核にすればよいかすらわしには分からなかった。
わしがしたことはほんのちょっとの手伝いと、あなたが杖を買いに来るまでこれを預かっておくということだけ。
つまりほとんど君のお母上が作った物、ということじゃ。どのような力があるかもわしにはわからぬ。
御代は要りません。もうもらっておりますからな」
「…そうなの。お母様が…」
そういっては杖を大切そうに抱きしめた。そして、顔を上げて言った。
「杖を預かってくれていてありがとう、オリバンダーさん。ハリー、ハグリット、行きましょう。」
オリバンダー老人のおじぎに送られ、3人は漏れ鍋まで戻った。
それぞれ考える事があったらしく、漏れ鍋につくまで誰も何も話さなかった。
「そうだわ。ハリーお誕生日おめでとう!」
その沈黙を破ったのはだった。
「え…?あ、ありがとう!」
さっき買ったプレゼントを渡してにっこり笑うと(ハリーはまた赤くなった)フルーパウダーを漏れ鍋の暖炉に入れた。
「じゃあまたホグワーツでね。『記録者の館』!」
ハリーが顔を上げた時にはすでにはいなかった。
マルフォイ登場。ヒロインの謎浮上。館の由来はまた後ほど…。
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