光の行方 〜 賢者の石編 〜    26


はトロールとの対決についてのことを、手紙で父に知らせた。
帰ったら聞きたいことがあるということと、今はもう元気だから絶対に学校には来ないで、ということもしっかりと書いて。
ものすごく心配するであろう父と兄たちの顔が思い浮かんでは心を痛めた。

しかしトロールとの事件のおかげでよかったこともあった。
ハリーとロンと、ハーマイオニーが仲良くなったことだ。
もハーマイオニーに避けられることがなくなって、達は学校での生活を楽しんでいた。





「もうすぐハリーの初試合だな!」
「きっと素晴らしいプレーをするでしょうね」
「ハリー・ポッターの下には常にマットを用意しておかないと危ないんじゃないか?」
「これに勝てばグリフィンドールが寮対抗総合の2位に浮上する。スリザリンなんかに負けんなよ!」


11月に入ってクディッチシーズンが到来すると、ハリーと一緒にいたの耳にこんな言葉たちがよく入ってくるようになった。
「君がシーカーなのは極秘なんじゃなかったっけ?」
「そのはずだったんだけど…」
けなされたときはともかく、激励された時もハリーはあまりありがたくなさそうだった。

ハリーは少ししかめていた顔を振って、気を取り直したように言った。
「君たちも応援してくれるんだろ?」
「「もちろん(よ)!」」

当然、とばかりにうなずく2人の横ではすまなそうに言った。
「ごめんなさい、私はできないの」

「「え?!」」
「あぁ、そっか」
驚いた顔をする2人の横でロンだけは思い当たることがあったようだ。

「何で応援できないの?」

家の一員だからさ。
言ったろ?は全てにおいて中立でないといけないんだ」
「寮対抗の総合得点への加算は、まだ子供だし、個人の行動によってされるものだから多めに見てもらってるけど。
こういうはっきりとわかる勝負事に関しては関与できないのよ」

ロンとの説明を聞いてハリーは気の毒そうに言った。
「そっか…。由緒正しい家っていうのも大変なんだね」
「家名に守られることもあるけど、こうも制約が多いと嫌になるわ…」

ごめんなさい、と寂しそうに言うを見てハリーは慌てて慰めた。
の事情はわかったから大丈夫だよ。そんなに気にしないで」
「そうよ、にはどうしようもないことだもの。ところでは当日はどこにいるの?」
ハーマイオニーも慌てて話をそらした。

「当日は実況放送者の隣で試合を見てるわ。
そこで皆を平等に、なら応援できるの。たとえば素晴らしいプレーをした選手に拍手を送る、とかね」
そんな努力の甲斐あってか、少しさみしそうにではあったがを笑顔にさせることに成功した。







「あら、セドリック」

その日は図書館でセドリックに会った。
実はが図書館でセドリックに会うのは初めてではない。
特に約束をしたことはないのだが、図書館でセドリックと会う確率はとても高かった。

「やあ。ここの席に座ってもいいかい?」
「えぇ、もちろん」
図書館は静かなため、ひそひそ声で話す。
相手の声を聞こうと自然と顔を近づけて話すのが常になった。

「そういえば聞いたわよ。セドリック、クディッチの寮代表選手になったらしいじゃない!」
「あー、うん、まあ…」
セドリックは照れたように頭をかいた。

「まだ3年生なのに凄い!でもシーカーは特に危険だって聞いたわ。気をつけてね」
「ありがとう。
はお兄さん達がそうだったように実況席の隣で見てるのかい?」
「えぇ」
実況席の隣の席は代々家の固定位置なのである。

「やっぱり寂しい?」
「それはもちろん…。でもお友達はグリフィンドール生だけじゃないもの。
誰に気兼ねするでもなく全員を応援できるって考えたらそんなに悪い事じゃないわ」

の笑顔はやっぱり少し寂しそうだったが、心配をかけたくないというの気持ちが伝わってきたのでセドリックは気がつかない振りをした。
「そっか。じゃあ僕も応援してもらえるんだね」
「えぇ、もちろん!」

の言葉を聞いて嬉しそうに、眼を細めて笑う。
「ありがとう……頑張るよ」
とセドリックは穏やかに微笑み合った。



セドリックはいつから寮代表選手だったのでしょうか?
3巻の時点(5年生)で既に選手兼キャプテンだったということはわかったのですがそれ以前のことはわからなかったので、3年生から選手になった、ということにしてしまいました。因みにまだキャプテンではありません。
どなたか知っていらっしゃいましたら教えていただけるとありがたいです。

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