光の行方 〜 賢者の石編 〜 25
「気がついたかね?」
「……?」
が目を開けると目の前には長いひげの老人――ダンブルドア校長先生がいた。
「ダンブルドア先生?何で……あ!」
言いながらは思い出した。
ハーマイオニーに降り注ぐ瓦礫と、それが目に入った瞬間、勝手に動いた体。
「そうだ、逃げ遅れて瓦礫の下敷きになったんだったわ…。
なのになぜ傷一つないの?」
マダム・ポンフリーが直してくれたのかしら?
そう首をかしげるの心を読んだかのようにダンブルドアは言った。
「君は初めから傷一つ負っておらんよ。その時のことを覚えているかの?」
「いえ…。衝撃に備えて頭を抱えたことしか…」
でも思い出してみれば瓦礫にあたった覚えがない。
その前に恐怖で気を失ってしまったのだろうか?
が考え込むのを見ながら、ダンブルドアはこう前置きをして口を開いた。
「これは君の3人の友人達から聞いたことなんじゃが―――」
「!!」
それは一瞬のことだった。
ハーマイオニーを突き飛ばしたに降り注ぐ瓦礫。
壁は砂埃と轟音を立てて崩れ落ちた。
ハリー達は砂埃が治まってもその場の誰も動けなかった。
目の前の光景が信じられなくて、茫然と無意識のうちにハリーは名前を呼んだ。
「…?」
そしてその自分の声に我に返ると瓦礫に駆け寄った。
「!!」
夢中で瓦礫をどかす。
それを見たロンとハーマイオニーも慌ててハリーを手伝い始めた。
まだ混乱しているらしく、助けを呼びに、など誰も思いつかなかった。
3人は一心不乱に目の前の瓦礫を取り除いた。
子供でもどかせるくらいの大きさのものしかなかったことも幸いし、瓦礫はあっという間に取り除かれた。
瓦礫の下から現れたには傷を負った様子はない。
しかし普段とは大きく異なる部分があった。
それは、光の膜のようなものがを覆っていることと、金色であったはずのの髪が漆黒に染まっていること。
そして、が人間には見えない、ということだった。
ハリー達は普段のが、天使や女神のようだ、と言われるくらい美しいことを知っていた。
しかし、今のにはそのセリフは当てはまらない。
見ていると魂さえも吸い取られてしまいそうなほどの美しさ。
『ような』などと『女神に例えられた人間』ではなく、女神そのもの―――。
顔のつくりは変わっていないはずなのに、自分たちと同じ人間ではない、まったく別の生き物のように見えた。
3人がその場の状況も忘れて見惚れていると、を覆っていた光の膜がふっと消えた。
それと同時に髪の色も金色に戻り、きちんと『美しい人間』としてを認識ができるようになる。
そこでようやく3人は、無意識に止めていた息を吐き出すことに成功したのだった。
「その直後先生方が駆けつけてのう。事情の説明は3人がした。
ただし、君のことについてはその場では話さず直接わしに話してくれたんじゃ」
「そう、だったんですか…」
「その様子だと思い当たる節が無いようじゃのう」
「……はい」
「ふむ…。お父上にはわしから話しておこうか?」
「いえ…。自分で伝えます」
黒髪、と聞いての頭をよぎったのは死んだ母、瑠璃のことだった。
単純すぎるかもしれない。
でも――は思った――あのお母様なら、何があっても不思議じゃないわ。
は、窓の外の青空を眺めながら微かに記憶に残る母親に思いを馳せた。
そんなの横顔をダンブルドアは穏やかな表情で見守っていた。
謎を入れるときは答えを予想できる方がいらっしゃったらどうしようとドキドキします。笑
因みに3人は「美しい」云々の部分は省略してダンブルドアに話しました。
だからもちろん、さんもそれは聞いておりません。
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