光の行方 〜 賢者の石編 〜 20
にとっての学校生活はとても面白いものだった。
家の人々がもつ特徴である、素晴しい記憶力をも持っていた。
そのため、兄2人やウィーズリー家の人々に色々聞いていた道は大体頭に入っていたのだ。
だからたいていの生徒が苦労する、道を覚えるための努力はあまり必要なかった。
授業もその記憶力に助けられた。
暗記は得意だったし、実技はそれ以上に得意だった。
厳しいマクゴナガル先生の変身術で、マッチ棒を針に変えることができたのはハーマイオニーとの2人だけだった。
そんなにも苦手な教科がある。
その中の1つは、意外なことに暗記専門の「魔法史」だった。
いくら記憶力が良くても寝てしまっていてはさすがに覚えられない。
こんなんじゃいけない、とは思うものの気がつくと授業が終わっているのである。
もう1つは「闇の魔術の防衛術」だ。
授業内容自体はただのつまらない授業だが、どうにもは落ち着かなかった。
クィレル先生を見ると妙な胸騒ぎがするのだ。
漂ってくる匂いにも体が拒絶反応をおこすようである。
クィレル先生に悪いとは思うものの、にはどうしようもなかった。
最後の1つは「魔法薬学」の授業だ。
はこの授業が苦手ではない。
ただ、周りの人たちの関係がギスギスしていて居心地が悪いのだ。
最初の「魔法薬学」の授業の日、始めてハリーとロンが時間に余裕をもって食堂に現れた。
「おはよう、ハリー、ロン。今日は早いわね」
「おはよう、。今日は一度も道に迷わずこれたんだ」
「まぁ!それじゃあ、お祝いしないとね」
クスクス笑いながら言うに照れたようにハリーとロンはお礼を言った。
ハリーは、ハリーを見ようとする周囲の人の視線に慣れるくらいには、の笑顔にも慣れてきた。
は、食事が終わったラベンダーたちに先に行ってもらい、ハリーたちと「魔法薬学」の授業に向かった。
スネイプ教授はにとって謎な先生だった。
ハリーには嫌味などを言ってとても嫌な先生に思えるのに、に向けられた目は優しかった。
しかし目が合ったのはスネイプが教室に入ってきた時の一回きりだった。
その後はどんなに近くに来ても一度もを見なかったのだ。当然声もかけてこない。
首をかしげながらも作業をしていると、地下牢いっぱいに強烈な緑色の煙が上がり、
シューシューという大きな音が広がった。
ネビルが何か失敗をしてしまったらしくシェーマスの鍋を溶かしてしまい、こぼれた薬が石の床を伝って広がり、
生徒達の靴に焼け焦げ穴を開けていた。
たちまちクラス中の生徒が椅子の上に避難したが、ネビルは大なべが割れた時に薬をかぶってしまっていた。
腕や足のそこら中に真っ赤なおできが噴き出し、痛くてうめき声を上げていた。
「ネビル!」
思わず駆け寄ろうとしたの足は中に浮いた。
「え?!」
「ばか者!」
突然耳元で大声が聞こえた。どうやらスネイプがを片手で担ぎ上げているらしい。
スネイプがもう片方の手で杖を振るとこぼれた薬が取り除かれた。
「おおかた、大鍋を火から降ろさないうちに山嵐の針を入れたんだな?」
スネイプはシェーマスにネビルを医務室に連れて行くように苦々しげに言いつけた。
それからをそっとおろすと顔も見ずに言った。
「あのような場合、近寄ってはいけない」
そしてハリーの方に振り返った。
「彼が間違えれば自分の方が良く見えると考えたな?グリフィンドールはもう1点減点」
それを聞いては我慢ができなくなった。
「先生、その減点理由は理不尽です。それに先ほどから、ハリーに対して厳しすぎます」
周りの生徒は息を呑んだ。
皆思っていたが言えなかったことをはさらっと言った。
ひどいことをされるのではないか。
そんな脅えが生徒達に広がった。
「………」
しかし、そんな生徒達の予想を裏切り、スネイプは何も言わなかった。
振り返りもせず、の言葉を聞かなかったように振舞ったのだ。
「ちょ…んん?!」
更に言い募ろうとしたの口をロンとハリーが必死にふさいだ。
「、もういいから」
「黙ってたほうがいい!」
「だってハリー!」
「大丈夫、が怒ってくれたからもういいよ」
「でも…!」
「いいんだ。本当に大丈夫だから」
本人にそう言われては、部外者である自分に怒る権利はない。
そう思っては自分を落ち着かせた。
スネイプのとった態度の理由はそのうち出てくると思います。
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