光の行方 〜 賢者の石編 〜    17


とダンブルドアが玄関ホールに着くと、女の人が待っていた。

「ではマダム・ポンフリー、後は頼みましたぞ」

「はい、分かりました」

その女の人にを預けると、ダンブルドアは急いで扉の向こうに行ってしまった。



「初めまして、と申します」

「私は校医のポンフリーです。髪と服は乾かしてあるようですね」

「はい、先ほどダンブルドア校長が乾かしてくださいました」

「よろしい。どこか痛い所はないですか?」

「大丈夫です」

「顔色も悪くないですね。念のためこれを食べておきなさい」

そう言って差し出された物はチョコレートだった。

はチョコレートは好きだったので喜んでもらった。



「ダンブルドア校長が帰ってきたので、組み分けの儀式が始まっているでしょう。

 組み分けの儀式とは…」

マダム・ポンフリーはがチョコレートを食べ終わるのを見届けてから、

組み分けについて、寮の大切さ、寮杯について、などの説明をした。

「ではこれから組み分けの儀式をおこなっている大広間に行きます。

 私は怪我をした3年の手当てをしてから行くので、1人で入ってください

 ……この扉の向こうが大広間です」

「分かりました。ありがとうございました」

「いいえ。楽しんでいらっしゃい」

「はい!」

は1つ深呼吸をして扉を開けた。









最後の1人だったザビニ・ブレーズはスリザリンに決まった。

しかし湖に落ちてしまったというはまだ現れない。

「まだ来てないよね。大丈夫なのかな?」

ハリーは隣のロンにささやいた。

「ダンブルドアも帰ってきたしすぐに来ると思うけど…」

そう言いながらもロンは不安そうだ。

よく見ると双子のウィーズリーも、パーシーもハーマイオニーもそわそわと扉とダンブルドアを見ている。



そんな時、突然扉が開いた。

扉は大きな音を立てて開いたわけでもないが、なぜか広間中の視線は扉を開けた人物に吸い寄せられた。

何百という目に見つめられながら、扉を開けた人物――は真っ直ぐ前を見て堂々と通路の中央を歩いた。

歩くたびに金色に輝く髪がなびき、宝石のような瞳が煌く。

誰もがの持つ雰囲気に、存在感に圧倒されていた。

そうして周囲が注目する中、は組み分け帽子の前にたどり着いた。

しかし誰も何も言わない。いや、言えないのだ。

ハリーからはもはやの背中しか見えなかったが目を離すことができず、息を呑んで成り行きを見守っていた。

その時驚くことがおきた。

帽子が再び歌いだしたのである!



「私は綺麗じゃないけれど…(途中省略)

 …だって私は考える帽子!」




帽子は歌い終わるとお辞儀をし、再び沈黙した。

「素晴しいわ!ありがとう」

その言葉とともに響くぱちぱちという拍手の音に、ハリーは我に返った。

「コ、コホン!えー、ですね?」

「はい」

「ではその組み分け帽子をかぶりなさい」

やはり我に返ったらしいマクドナガルに指示されが帽子に近づこうとした時、

の腕をつかむ者がいた。








は手に氷を押し付けられたような冷たさにぎょっとして振り返った。

そこにいたのは銀色の血でべったりと汚れた衣服を着たゴーストだった。

は思った――このゴーストが兄様たちの言っていた血みどろ男爵かしら。

しかし血みどろ男爵はにごった目をしていると聞いたが、今目の前にいるゴーストの目はギラギラと光っている。

「お前」

唐突にそのゴーストが口を開いた。

「スリザリンに来い」

「まぁ!」

は少し憤慨したように言った。

「名乗りもせずに失礼じゃない?

 組み分けをするのは私じゃないし、命令をするのも、されるのも大嫌いなの」

そう言って血みどろ男爵を振り切ると今度こそ帽子をかぶった。

視界が真っ暗になる直前にが見たのは呆気にとられたような生徒の顔だった。








次回組み分け結果が出ます。




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