光の行方 〜 賢者の石編 〜    14


パンジーはおもしろくなかった。

マルフォイがとかいう女をとてもとても大切に扱ったからである。



――家を敵に回すと厄介だからかまっているだけよ。

そうじゃなきゃあんな女なんて相手にされるわけないわ。――



そう自分に言い聞かせていたが、少し無理があることもわかっていた。

マルフォイはパンジーが何度話しかけても適当な返事しかよこさず

視線をから外そうとしない。

そんな態度をとるマルフォイより、その視線の先にいるに対する怒りが

パンジーの中でどんどん膨れ上がっていった。

が水の中に何があるのか、と身を乗り出し湖を覗き込んだ時、突然小船が揺れた。

パンジーは思った――チャンスだわ!

パンジーは偶然にぶつかった振りをしてを小船から突き落とした。

!」

「ニャー!」

を追って黒猫も湖に飛び込んだ。

パンジーだってを殺そうと考えたわけではない。どうせすぐ助け上げられるだろう。

ただ、あの調子にのってる女がびしょぬれになって恥をかけばいいと思ったのだ。

つまりちょっとした嫌がらせのつもりだった。

(もちろんこの動機が世間一般で僻みとよばれる感情だとパンジーは気がついていない)

しかし…。



「なぜ浮いてこないんだ!?」

と黒猫――キョクヤとあの女は呼んでいた――は浮かんでこなかった。

小船は勝手に進んでいく。

「クラッブ!ゴイル!もぐって見てこい!」

マルフォイは命令するが2人は尻込みしている。

そんな2人に痺れを切らしたマルフォイは叫んだ。

「もういい!僕が見てくる!」

そして飛び込もうとしたマルフォイをパンジーは必死で止めた。

そんな時、こちらに向かって小船が来るのが見えた。

「心配なのは分かるがここはわしに任せてくれないかの?」

真っ白い長いひげの老人――ダンブルドア校長だった。



マルフォイも湖に飛び込みたくなんかない。

しかしこいつに黙ってを任せるのも癪に障る。

(頭を下げるなんてもっての他だ!)

に何かあったら家はもちろんマルフォイ家も黙っていないぞ」

「わかっておる」

そう言ってダンブルドアは笑った。










マルフォイのせいでパンジーに睨まれてしまいました。ダンブルドア登場。




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