光の行方 〜 賢者の石編 〜 11
「そうか、自分では似ていると思ったことはないけど、他人から見たら私はヒキガエルに似て見えるのね。
どうりで初めて会った人が皆固まるわけだわ」
兄様たちはきっと私が傷つかないように黙っていてくれたのね… とが、ショックを受けながらも
謎が解けてすっきりした、という顔でつぶやいていると、ハーマイオニーが慌てて否定した。
「、それは違うわ!」
しかしヒキガエルに似ていると思い込んでしまったにとって、それは慰めのようにしか聞こえなかった。
「ちょっと、あなたも何とか言いなさいよ!この子が誤解したまますごしたら、恐ろしいことになるわよ!」
もしもこのまま、自分の魅力に自覚を持たないで育ってしまったら、争奪戦がどれだけ激しい物になるか…。
ハーマイオニーとしては、に自覚を持って自分の身を守ってほしいと思っていた。
もちろん、自分もを守るためには努力を惜しまないつもりだ。
「う、うん、君はヒキガエルになんか全然似てないよ。僕はペットのヒキガエルを見なかったか聞きたかっただけなんだ」
「見てないけど…」
は前半部分を聞き流した。
その様子を見て、ハーマイオニーは思った――こりゃだめだ。
「あなた名前は?」
「ネビル」
「私はハーマイオニーよ。ネビル、探すの手伝ってあげる。行きましょう」
「私も手伝うわ」
も立ち上がったが、ハーマイオニーに止められてしまった。
「2人いれば十分だわ。大丈夫よ。私はどこの寮がいいか聞く用事があるし」
そう言ってハーマイオニーとネビルは出ていった。
ハーマイオニーはを人目に触れさせるのはよくないと考えたのだが。
「ハーマイオニーも兄様達と同じ心配性なのかしら。でもこんな電車の中で迷子になんかなりっこないわ」
そう言いながら極夜をバスケットから出した。
「お散歩に行きましょう。廊下を探すくらいは私にもできるわ。ごめんなさい、白夜。
あなたを連れて行くわけにはいかないから、お留守番お願いね」
そう言って鳥籠を開けてはコンパートメントを出た。
「!」
少し歩いたところで聞き覚えのある声に呼び止められた。
「あら、フレッド!どうしたの?」
「それはこっちの台詞だよ!こんなところで何をしているんだ?」
「知り合いのペットを探しているのよ。ヒキガエルらしいんだけど見なかった?」
「いや、みてない…そんなことより、こっちこいよ。のことジョージと手分けしてずっと探してたんだぜ」
「そうだったの?ごめんなさい、気がつかなかったわ。じゃあちょっと行ってみようかしら…」
「あぁ、こっちだ」
が行く、と言うとフレッドは上機嫌で案内した。
ドアを開けると、中には細かい三つ編みを縮らせた髪型の男の子が箱を持って座っていた。
「なぁ、この蜘蛛…」
そこまで言いかけてその男の子も固まってしまった。
フレッドの後ろにいたに気がついたのである。
この反応は――は思った――私が蜘蛛に似て見えたんだわ!
「私、そんなに蜘蛛に似ている?でもヒキガエルと蜘蛛に似た顔って…。皆からどうやって見えているのかしら」
そう不安そうにつぶやくを見てフレッドは呆気にとられた。
「はぁ?」
その時、フレッドの双子の片割れが入ってきた。
「!よかった、フレッドが見つけたんだな」
「ジョージ!探してくれたんだってね。ありがとう」
暢気に挨拶するにフレッドは食って掛った。
「ちょっと待て!落ち着け、!何があってそんなとんでもない誤解をしたんだ?」
「お前が落ち着けよ、フレッド。何があったんだ?」
「それが…」
と、フレッドは一部始終を話した。
「はぁ?お前、何があってそんなとんでもない誤解をしたんだ?」
ジョージはフレッドとまったく同じ反応を返した。
「だって…」
はヒキガエル、と言って固まったネビルの話、蜘蛛、と言って固まった男の子の話をした。
「ヒキガエルと蜘蛛に似た顔をしているから、初めて会った人は皆驚いた顔して固まるんだわ。
もう分かったから、隠さなくていいのよ。
確かにショックだったけど、あなた達は私がどんな顔をしていても仲良くしてくれたじゃない。だから大丈夫よ」
そう言って微笑んだを見て2人は顔を赤くしたが、そんなことをしている場合じゃないと思い出した。
「まて、確かにがどんな顔でも僕達は仲良くなったと思うよ。でも、その恐ろしい誤解は解かなくちゃ駄目だ」
「だから慰めてくれなくても…」
「慰めているわけじゃない!君は鏡を見たことがないのかい?」
「あるけど…自分に見えているのと、他人が見えているのが同じとは限らないでしょ?」
そのの言葉を聞いてフレッドはため息をついた。
ジョージは仕方ない、というように口を開いた。
「よし分かった…君は自分を過小評価しすぎている」
「君が見ている自分の顔を、さらに美化して僕達には見えていると考えていい」
「「つまり君は大変美しいと言うことだ」」
双子は交互にしゃべった。
その息のあった説得には双子の本気を感じとり、ヒキガエルや蜘蛛に似ていないと言うのは信じようと思った。
だが、美しいと言うのは大げさに言っただけだろうと判断した。
「わかったわ。私はヒキガエルや蜘蛛には似てないのね」
「「もちろんだ、なぁ、リー」」
「あ、あぁ。君はとっても綺麗だよ。あ、僕はリー・ジョーダン」
「私は・よ」
「?まさか君…「リーは僕達と同じグリフィンドール生なんだ」
「僕達は君がグリフィンドールに来てくれることを心から願っている」
双子はリーの台詞をさえぎり言った。
「ありがとう…じゃあ、私そろそろいくわ。またね」
そんな双子の様子を不思議に思いながらもはコンパートメントを出た。
ヒロイン勘違い編。リーが言おうとしたことはまた後ほど出てきます。
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