光の行方 〜 賢者の石編 〜 33
処罰で森に入った日から、ハリーの様子がおかしくなった。
も心配して話を聞いてみたのだがハリーは理由を教えてくれず、何がそんなにハリーを悩ませているのか分からないままテスト期間に入ってしまった。
日に日に眼の下の隈が濃くなっていくハリーは心配だったがテストが待ってくれる訳もなく、もまた周りの生徒と同じように、勉強に追われる日々を過ごした。
マクゴナガル先生に呼ばれたのは、そのテストも終わり、ハリー達と校庭でのんびりしていた時のことだった。
「ミス・。あなたのお父様がいらしています。いらっしゃい」
「お父様が?何かあったのですか?」
「事情は伺っていません。ですがあなたの兄達ならともかく、お父様なら大切な御用事があるのでしょう。急ぎなさい」
「はい。…じゃあ、私ちょっと行ってくるわね」
は少し不安になりながらもハリー達に一言告げ、マクゴナガル先生の後について歩いて行った。
誰か病気にでもなったのだろうか、と心配しながらも向かった先では、父がいつもと変わらない無表情で座って待っていた。
「お父様。何かあったの?」
「ああ、ちょっとな…。マクゴナガル先生、わざわざすみませんでした」
「お気になさらず。ではお帰りの際は一声おかけください」
「ありがとうございます」
マクゴナガル先生が一礼して出て行き、足音が遠ざかるのを確認してから、の父、ソードはようやく話しだした。
「お前を呼んだのは、クィレルについてわかったからだ」
「クィレル先生?」
「そうだ。彼を見ると妙な胸騒ぎがすると言っていただろう。だから気になって私達で調べてみた。
その結果、どうも彼はヴォルデモートとつながりがありそうだという結論に達したのだ」
「あのヴォルデモートに?!」
「ああ。それも、連絡を取っている、と言うよりは寄生させている、と言った方が正しいかもしれない」
「そ、そんな…ダンブルドア校長先生に知らせなきゃ…!」
「駄目だ。忘れたわけではないだろう。お前は『』だ。
この件がひと段落つくまで勝手に動くことを、現当主として禁ずる」
「そんな!」
「その状態も長くはない。今日中に何らかの動きがあるだろう。
先ほど、クィレルがダンブルドアを魔法省におびき出した」
「!!」
「ヴォルデモートの手に賢者の石が渡るか、ダンブルドアが退けるか…ハリー・ポッターが何かするか」
「知っていたの…?」
「賢者の石のことか?私は現『記録者』だぞ。知っていて当然だ」
「それでヴォルデモートが復活してもいいの?」
「ああ」
「…そうよね。『』は個人の感情に関係なく、常に中立でないといけないのだものね。
お父様の気持ちも考えないで、ごめんなさい」
がうつむいて謝ると、ソードは少し困ったようにの頭をなでた。
「では、一度おまえも館に帰りなさい」
「…わかったわ」
が頷いたのを確認して、ソードはマクゴナガル先生の所へ話をしに行った。
「でも事情は話せないわよね?何と説明するの?」
「エースに仮病を使わせて仕事を休ませた。そのエースがお前を呼んでいることにすればいい」
「でも、私がいても病気を治すことなんてできないわよ?」
「…それでも、あいつを知っている奴になら説得力がある言い訳だ」
「???」
にはいまいち納得ができなかったが、ソードがあまりにも自信たっぷりに言うため、大人しく会話を聞いていることにした。
「…というわけで、エースがに会いたいと駄々をこねているのです。
お恥ずかしい話ですがこれまでの経験上、あのまま放っておくとホグワーツに忍び込みかねない。
その為、勝手ながらを一時的に帰宅させたいのですが…」
「エース・ならば確かにやりかねませんね…。
分かりました。校長には私から話しておきましょう」
「ありがとうございます」
あっさりと話が通ったことに釈然としないものを感じながらも、はこうしてソードの後について自分の家…『記録者の館』に帰った。
my設定の復習です↓
『記録者』とは家の当主にだけ与えられる称号。家は常に中立の立場にいるため『記録者』の書いた歴史書は魔法界で最も信用されている。
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